公益財団法人 奈良県体育協会
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アテネオリンピックを終えて
カヌー競技専門スポーツ指導員 鈴木祐美子
 私達の試合は8月23日からだったのですが、会場の水や状況に慣れる為、8月4日から選手村に入りました。選手村内は広く、各国選手団が宿泊する多数の棟、プール、トレーニング施設、レジデント棟(ランドリー・カフェ・ゲームセンター・アロママッサージ・ビリヤード・インターネットルーム)、食堂、美容室、グッズショップ、花屋さん、CDショップなど数々の施設が完備され、その中をバスで移動します。

 日本選手団の棟は、それぞれの会場に向かうバス乗り場、メイン食堂、ショップエリアに一番近くて便利な場所にありました。そしてその中でもメイン食堂の目の前にある3階建ての棟の2階の真ん中に私達カヌー女子チームは振り分けられていたのですが、何とその棟の1階は柔道男子、2階の左隣は柔道女子、右隣は競泳男子、3階は同じく競泳男子と陸上男子という、大会初日から金メダルラッシュでキラキラ輝く棟の真ん中での生活は、少し肩身の狭い思いでした。

 といっても、私達の部屋にはテレビが無かったので、北島君が金メダルを取ったのを3日後に知ったり、日本の友達からのメールで、今の日本でのオリンピック情報を聞いたりしていました。アテネにいながらオリンピックの情報が入ってこなくて、日本チームのメダルラッシュの感動を味わうことも出来ず、奇妙な感じで少し寂しいオリンピックでもありました。私は今までテレビでオリンピックを見てきて、「華やかで賑やかで想像も出来ないような大きな大会」というイメージだったのですが、実際その選手村に入ってみると、そこにはただ普通の生活があって、「なんだ、結構普通やん。」というのが感想でした。当然といえば当然なのですが。
 試合会場も、世界選手権やアジア大会より、施設・設備がしっかりしていて、厳重な警備がされている以外は、いつも見る選手達が、いつもの試合と同じように調整しているだけなので、「オリンピック!」といえど、いつもより大きな試合というくらいで、いつもとあまり変わらない気持ちで生活できていたのです。

 しかし、試合が始まるとほとんどのレースのチケットは完売するほど、観客席は満員で、その声援は今まで聴いたことのない迫力でした。その時初めて「これがオリンピックなんだ」と思いました。(あ、開会式の歓声の時にも少し思いましたが…。)
私はフォア(4人乗り)とペア(2人乗り)のエントリーだったのですが、各種目が予選・準決勝・決勝と、6日間1日1本というスケジュールだったので、今まで日本のレースで多い時は8本漕ぐ日程の時もあったので、問題ないと思っていたのです。
しかし、私達が戦わないといけない相手は1種目に絞って一つでも上を狙っているのに、やっと世界と戦えるようになった私達がかけもちをするのは厳しかったようです。

 やはりオリンピックなのでしょうか、問題ないはずの1日一本の集中力と体力が・・・
日ごとに疲労感は増し、自分達本来のレース展開すら出来ないようになってしまいました。
上位入賞を!と思っていた私達でしたが、オリンピックの厳しさを感じさせられました。

 悔しさの残るレースになり、疲れきって帰国したのですが、周囲の方々が日本女子カヌー界初の決勝進出を凄く喜んでくださったり、卒業後連絡の途絶えていた友達からお祝いの電話をもらったりと、たくさんの方々が本当に凄く応援してくださっていたんだと感じ、帰ってきてから少しずつ喜びがわいてきました。 このオリンピックでは、その声援は本当に大きく、そして凄く大きなパワーを頂くことができました。本当にありがとうございました!

 アテネにいた1ヶ月弱で、学ばせていただいた数々の貴重な経験はとても書ききることは出来ませんが、それらのことをこれからに生かして、心新たに新しいスタートに立つ気持ちで頑張りたいと思います。